塩名田宿〜和田宿・・和田峠((1531m)・・下諏訪宿・・下諏訪駅〜
塩名田宿からのバスは登校する小学生たちで混んでいた。バスは和田宿を抜けて学校前に到着したが、子供達は大騒ぎしていて「おーい学校いかないのかあ。」の声でやっと降りだした。
いよいよ和田峠だ。この峠は中山道で最大の難所であると、驚かされていたが、自動車が通れそうな幅の広いハイキングコースが続く男女倉口バス停から登り始めた。
重武装には似つかない登山路を進むと、山栗だ。栗の大きさは親指の爪程度だが、身が締まって美味しいそうだ。イガから飛び出した栗が道にも、側面の草むらにも、沢山ある。
街道歩きは一時中断だ。
風が吹くとトントンと音がして、はじけた栗の実が落ちてきた。そのまま放置すればリスや熊の餌になるが、そんな動物たちに負けてはいられない、と懸命に拾い集めザックに詰め込んだ。
いつのまにか和田峠に出た。標高は1531m、雲が直ぐそこにあって、風に流れていた。
石碑が沢山ある。さすが和田峠だ。案内パンフレットを沢山納めた箱があった。
下諏訪への下り道だ。ハイキングコースとは一変、狭くてゴロゴロの沢道になった。
昔はもう少し広くて、石畳の道だったのだろうか、長い年月は雪と雨が道を削り、沢のようになっていた。
後で聞いた話だと、登りの道は国が整備して、諏訪への下りは地元のボランティアが手入れしているとか。
国道142号線に出た。オー、また栗だ。車につぶされてしまう前に拾わないと・・・・。
暫く国道を下ると、道標に『木落し坂』とあり、ここは見物だ。
急傾斜の草地を巨木に乗って滑り降りる神事がある所だ。命がけの行事だ。巨木を横にして転がせば安全だろうがと、考えてしまう。
諏訪大社春宮から出て、見晴台から富士山と木曽の御嶽山を眺望できた。もう秋の日は落ち始めていた。
街道沿いに明治初期ごろの古い家が公開していて、土間があり、土産物が並んでいた。
『どうぞお上がりください』と声をかけられたが、無理矢理買わされそうなので、しばらく遠慮していた。
熱い渋茶に誘われ土間に入ると話が始まり、「最初は中山道を歩く会と聞いた。俺でもできそうだと入会したら、いつか守る会になって、中山道の補修やら道標を立てるやらで忙しくなり、昨日も峠の上まで行って案内図を補充して、ついでに崩れかけた岩を直してきたよ。」
2012/9/28