会津への道

6:湯野上温泉


(伝説)・・猿湯の話



〜会津田島駅・・会津下郷駅・・弥五島駅〜湯野上温泉(泊)

 


 昨年の11月から中断した会津西街道の旅は5ヶ月ぶりに再開だ。

会津田島から先はトンネルとか川沿いの道で積雪が多くて歩くには不向きだと田島の宿の忠告もあり、しかも例年よりも雪が多く降った冬だった。

 

 しかし、春が早く訪れてしまい。期待してた会津城の桜は散ってしまったようだ。

東武特急の車内は乗客の弁当の匂いで充満したが、それでも車窓には新緑が写っていた。

 鬼怒川温泉駅で「喜多方」行きの車両が待っていたが、すでに満席状態であった。

 

 独特のヘルメットを被った親父サイクリスト達がユニホーム姿で座席を占領していた。がっかりした長旅だった。昼飯の場所を探し当てた。イタリアの国旗が掲げてあった。

 昔、旅館だったところで朽ちかけた庇が物語っていた。毛モクジャラの犬の出迎えだ。人懐っこく飛び掛かり、一瞬引く場面もあり、落ち着いて食事ができるか心配だ。

 

 全国的に夏日だ。暑い日差しが照りつけていた。

いよいよ歩き開始だ。久しぶりの歩きだ。二泊3日の荷物はしっかりと背中にくっつき、座布団を背負っているかのようで暑いぞ。汗で濡れてきた。

 

 歩道は小さな街中で消えて、阿賀川の流れに沿った街道歩きだ。国道に描がかれた白線は消えかかり、車との間を保ってくれるだろうか。轟音を響かせたバイクの一団が次々にくる会津街道は走り屋の聖地らしい。

 民家が現れた。庭先に鮮やかな紫花のムスカリ群落が咲き、赤や黄色のチューリップだ。

勢いよく伸びたツクシもある。桜は散って若葉に覆われていた。

 

 目標の弥五島駅は近い、乗車時刻が迫っていた。駅までの3kmを25分で、道は上りと下り坂だ。また会津西街道の駆け足旅だ。これで三度目となった。

 本来の会津西街道は近くの会津下郷駅付近から大内宿を経由する山道ルートであるが、今回の街道歩きは最短で会津城に着く温泉付きの川沿いルートにした。

 

 茅葺屋根の湯野上温泉駅。ホームに被さるシダレ桜が咲いている。写真を撮る人たちだ。駅舎の中に囲炉裏を焼べて懐かしい煙の匂いが立ち込めている。お土産を売っていた。

 

 いつもの4倍も払う高級宿を利用することになった。果たして熟睡できるか。広い廊下、客室は他の部屋と繋がりのない個別の作りになっていて、10戸しかない。各戸には掛け流しの温泉が付き、8畳と10畳の部屋、窓の下は阿賀川の流れだ。

 豪華な料理だ。しかし残念なことに大声で会話する客がいて、味わうことができない。まるでガード下の飲み屋にいる気分だ。ウルセーと叫びたくなった。

2018/4/22


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