奥州街道Ⅱの旅

18:三戸宿


三戸宿・・・いわて銀河鉄道/三戸駅

      三戸秋祭り9月

(昔話)・歌志内の昔ばなし



<蓑の坂峠>


<三戸宿>


金田一駅・・蓑の坂峠・・三戸駅〜二戸駅〜


 夜中に聞こえた廊下を走る音は座敷わらしだったのか。幸福になれるのかも。

 

 今日は晴れが続くので歩く姿はシャツ一枚で、顔に日焼け止めを塗り、駅近くの商店で握り飯と飲料を調達して、脱いだ衣料が詰まったザックに押し込むとパンパンに重くなった。

 

 金田一駅で出会った人から街道の話を聞くと途中に急な登りがあるとのことだ。

駅から出てすぐの街道に奥州街道の真新しい道標だ。これなら安心して歩けそうだ。道標は左の脇道を示し、突き当たりを右に、さらに狭い踏切の先にも道標が案内していた。

 

 草に覆われた道を登ると、傾斜は急になり、右は崖で下にいわて銀河鉄道の線路がある。

街道歩きの安全のために柵に新しいトラ紐が括り付けてある。

 

 舗装道路に出た。木に覆われているが強い日差しだ。

雪でも積もったのか周囲の葉が白く輝いている。マタタビの群落が絡みついて斜面に密生している。

 

 日陰のない街道に小屋があった。バス停だ。腰掛けられる。バスが来るまで休憩。時刻表にバス路線全部のバス停名と通過時間が表示してある。1日一本だけ運行している。

 

 りんご畑で手入れしている人がいた。「小さい実とか、赤焼けした実を採っているんです。袋がけして12月に収穫するんですよ。」「雪は少ない場所で30センチ程度かな。」

 

 直線道路は丘に向かい、周囲は田んぼ。照りつける太陽。道標はもっと進めと示している。

しめた。バス停小屋がある。早めに握り飯に食らいついた。

 

 徐々に坂は急になりいよいよ奥州街道の難所、蓑の坂峠だ。

街道は木が生い茂る快適な草道になる。急坂に使える竹製の杖が沢山用意してあった。

紐が付いていてまだ新しい物だ。二本づつ借りることにする。

 

 馬淵川に削られた崖で峠までの高さは130mになり、竹杖を使った急登が続いた。

岩手県の県境を越えて青森県に入っていた。

 

 峠の頂上だ。明治天皇の石碑と見晴らし台がある。

眼下に半円形に湾曲した川の流れがあり、対岸はリンゴ畑だろう。

 

 峠を下ると頼りになった道標は青森県側になく、代わりに朽ちた東北自然歩道の道標からは

奥州街道の文字はなくなり、「関根の松」を案内している。

峠を降りると4号線の盛岡方面は登り坂で、大きな荷物を付けた自転車旅の姿があった。

 

 舗装された小道が交差する不案内な街道は三戸の市街地に向けた下り坂だ。

照りつける畑に草刈機でタマネギの葉先を刈り取る姿がある。雲のない青空だ。

 

 三戸の街を過ぎたあたりに、神社を思わせる朱塗りの欄干に黒い擬宝珠が付いた黄金橋だ。

関根の松は橋を渡り左に入ったところにあるようだ。

 

 三戸駅は中心街から離れた場所で、蒸気機関車を嫌った結果にできた駅で、国鉄時代は特急列車が止まり、駅前に数件の旅館があったが蘇ることはないだろう。

 駅の近くに斬新なデザインの白い建物だ。

2019/6/26


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