奥州街道Ⅱの旅

15:小繋


小繋・・・いわて銀河鉄道/小繋駅



<小繋>


盛岡駅〜御堂駅・・ヨノ坂・・小繋駅〜盛岡駅〜


 朝から寒く、曇り空で5月なのに7度に届かない。

御堂駅に到着してからは一時間ほど国道を北に進み、街道は右の道に入った。

 

 道脇の50センチは伸びたフキノトウの花がたくさんある。普段見かけるのは花の咲き始めで天ぷらになり春を告げるほろ苦い味がする。

 

 国道を別れ坂道をゆくと左側の山裾に御堂観音があり、右下は北上川の源流で向かいは山である。

整備された公園には小さな池があり、2個ほど飛び石を渡ると狭い川があり北上川だ。

公園に壊れかけた水車が時々クルッと回っている。

 

 30分ほど周囲が森の坂を登ると数件の集落があり、川に向かった下り坂になった。時々日がさすが寒い。川沿いの摺糠集落に入るが食事ができる場所がなくて、風が当たらない神社の階段下でオニギリを頬張る。

 

 奥州街道は左の山道になり草が生える幅広の道になった。周囲は森になり静かな時が流れている。

熊よけの鈴をザックから探し出してチリチリと鳴らしながら森の中をゆく。

 

 周辺が拓けて舗装道に変わった。

広大で緩やかな牧草地帯で北海道に似ている。森林を切り開いで作ったのだろう尾根筋の街道だ。

緩やかな登り下りの街道をゆくと、奥州街道最高地点の看板に490mと出ていた。

 

 周りに何もないところに古びた東屋がポツンと、冷たい風がシューと吹き抜きぬけていた。

火打伝馬所跡があり、近くの民家で庭の手入れをしていたお婆さんに奥州街道の道をたづねる。

「まっすぐ行くと左手に神社があり、街道は急坂の荒れた道ですよ。」

 

 ほどなくゆくと十字路に出て左の舗装街道をゆくと小繋の駅に出るが、正面から丘を下るヨノ坂の泥道に突入した。

バイクか車が泥沼の道を深くえぐり、昨夜の雨で溝に水が流れている。山道ではいつもの光景で、グチャグチャにぬかるんでいるが草地を踏めば楽に下れて、靴が汚れることもない。

 

 坂が緩くなりタラの木を見つけたが、昨日の外人さんが全部捥いだのだろう。細い木があるだけだ。

残念ながら期待してビニール袋を持って来たが収穫はなかった。

 

 暗い森の中に盛岡から数えて12番目の小繋一里塚があった。下り坂はまだ続いている。

泥道が終わり電車の音がして小繋の集落だ。家の溝に水芭蕉の白い花が埋まるほど咲いていた。

 

 歩行者専用のトンネルを抜けると駅になり、4号線で一番古い国道トンネルが並行している。

小繋の小さな駅は綺麗で椅子に座布団が敷いてあり、花が飾られ、(命のノート)が積重ねてある。

 

 昨日は帰る時刻に雨になり、盛岡駅で止んだ。今日は寒い1日だったが傘の出番がなく感謝だ。

だが、予定していたスーパー銭湯に出かける時に雨が降り出し、北上川の支流、雫石川の盛南大橋を超える頃には横殴りのザーザー雨だ。傘は手元になくてビショ濡れだ。もう少しで銭湯だ。

 

 スーパー銭湯で汗を流して夕食を食べ、夜行バスで帰るのだったが、銭湯は臨時休業で予定外れ。仕方なく2km先の駅に戻ることになり、強くなった雨に勝てないでビニール傘を買うことになった。

 

 バスは9時55分発で駅のお店は8時半にシャッターを下ろし、雨で寒い待合室で待ち続ける。

バスは定刻より早くバスタ新宿に到着したが、全員が少ないトイレに集中して大混雑になり、始発の電車を寒くて広い場所に一時間以上待つと駅のシャッターがやっと開いた。出発と到着で三時間、寒い待合室に閉じこもり、眠れなかった夜行バスで、連れは安くてももうバス移動は嫌いとぼやき続けた。

2019/5/7


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