奥州街道Ⅱの旅

5:築館宿・宮野宿


築館宿・・・大崎市民バス/栗原市役所前バス停

      つきだて七夕まつり(8月)



<築館宿>


<金成宿><沢辺宿><宮野宿>


〜築館宿・・(宮野宿)・・沢辺宿〜


 わずかな登りと下りを繰返す道は地図上だと4号線に戻るが、旧奥州街道の小さな木札を偶然見つけて、しめしめとそこに進み込んだ。

 

 木に覆われ、幅は4メートルぐらいの草道が続いている。道の両サイドは綺麗に刈り込んである。草刈りなどに使われたのか車の轍がわずかに残っている。

人の足跡はなく、場所によってはぬかるんでいた。

 

 クマの領域に入った様だ。あまりクマさんに出くわしたくないので鈴を鳴らして進む。

木が生い茂り、どちらに向かって歩いているのか不安になるが、奥州街道と刻んだ大きな石柱が時々現れた。街道は薄暗く鳥の声もしない。

あのうるさい国道沿いの歩道歩きと比べるとなんと快適だが、誰もいない、家もない、不気味だ。

 

 東北自動車道の築館インターだ。今朝、バスで通った道だ。工事中だ。

インターを抜けられかと左に入る道を登るがダメで工事現場に後戻りする。

作業服の男がアケビを見つけたようだが、もう紫色でなく茶色の実だった。

 

 高速道路の下を抜けると舗装道路の街道は小さい登りと下りを繰り返して4号線に出た。

丘の上にできた築館宿の町になる。市役所でスタンプを押せるかと庁舎に入り休憩。

 

 「どこに行くんですか」と身分証明票をぶら下げた人がやって来た。

「栗駒山の麓で農家をやっているんだ。今は紅葉が綺麗だよ。311の地震はすごかったなあ。

最初にグラっと来てすぐに2度目の大きな揺れが来たんだ。女性たちはすぐに逃げ出した。男たちは動かないとわかった。津波の影響はものすごくて丸く破壊された車を見て涙が出た。

海岸沿いより川を登る津波は大きくなり、逃げられないので被害は大きいよ。

 

 今、海岸に大きな堤防を作っているけど、ここに造るよりもこれから起きる東海方面の対策工事

が先だと思う。」長々と話し込んでしまう。

 

 町を抜ける街道は下り坂になり、国道と合流して追川を渡り昨日のホテル脇を通るルートになる。

天気も良く、車の音が激しい歩道歩きをやめて堤防を行くことにした。

 振り向くと(栗駒山)が見えた。

 

 旧奥州街道の宮野宿は4号線を進んだ角にあるらしい。

ぶら下げた温度計は30度を示していた。背中はザックが布団になり汗が流れて来た。

国道を突っ切ると集落があり、郵便局があった。2円切手で消印を押してもらう。

 

 再び歩道歩きが続いた。田んぼに珍しい機械が何やら作業をしている。

稲わらの並んだところを機械が走って、わらを機械の内部に取り込んで丸めているらしい。

機械は満腹になったのか少しバックして丸まった稲わらをポンとお尻から吐き出して、また前進だ。

関心しながら見入ってしまい、エンジンを響かせてあっちでポン、こっちでポンとやっている。

 

 夕暮れの空に鳥の群れが鍵の字編隊で飛行している。ガアガアと鳴きながら飛ぶ雁の群れだ。一羽が離れて飛んでいる。群とは違う家族なのか。それとも疲れたのだろうか。南の方角に行って、戻って来た。

 

 予定よりも早く沢辺宿に到着した。

予約したホテルの一ノ関までバスとJRで行く予定だ。

沢辺宿はまっすぐな道が通り、バス停は道路の片側にしかない。バスはどこで乗せてくれるやら。

 

 バスは堤防の道を思いっきり走り、予定時刻に石越駅に到着したが、電車は遅れて来た。

ワンマンカーで運転手が乗車券の取り扱いをする仕組みだから遅れは当たり前らしい。

 

 明日は同じ電車に乗るが、新幹線の乗り継ぎがわずかしかなく心配になる。

2018/10/22




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