日光街道の旅

10:徳次郎宿


〜上徳次郎バス停・・徳次郎宿・・シドミ原バス停〜宇都宮(泊)


 宇都宮駅からバスに乗車、歩きながら見た景色を追っている間に、今日の出発地点に到着だ。天気は上々だし、できる限り日光に近い場所まで進みたい。日暮れでそこを終点にして。残りを明日にしたが、目標を大きく外れる惨事があるとは、この時は気がつかなかった。

 

 杉並木に挟まれた街道は真っ直ぐに日光に向かってゆるい上り坂がズーと続いている。

道の幅はおよそ8mで、両側に300年を越えた杉の大木、木の周囲が10mもありそうだ。数十メートルの高さまでそびえて、空に覆い被さり、巨杉の周辺には百年杉や、細い杉の子がびっちりで、その幅広い杉の帯が何キロも続き、秋の光さえも通してはくれない薄暗い街道なのだ。そこは街道を平たくするために両側を削り、石垣などで覆い崩れない仕組みだ。

 この杉並木の街道は、場所によって舗装道路だったり、砂利道だったり、杉を保護するために車を通行止めにした所は、周りから落ちた杉の枯葉が道路を覆っていた。

 

 それでも杉は減って、以前は4万本ほどあったが、今は一万本近くに激減した。

杉は特に水を好む樹木で、日光連山からの豊富な水が杉を潤していた。だが舗装化で消えたり、また、300年を経た物は自然に枯れて、大風で倒れる危険があり、根元から折た株もある。

 

 国道から外れた杉並木で、時間感覚が無くなったのか、気がつくともう4時半を過ぎてしまった。コンビニで一休みして、コーヒーを飲み干した。バス停がありますよ。と教えてくれた。

 

 近くにバス停があったが、バスが来るまでおよそ30分もある。まだ明るいので日光に近づいてしまえ、と次のシドミ原バス停を目指し歩き出した。じきに暗くなる。「大丈夫、ヘッドランプを持ってきたから」と安心の一言だった。さすが山歩きで鍛えたか。と思ったが、ヘッドランプは電池切れ。ますます細くなる道に車がすれすれにやってくる。こんなに暗い場所に人がいて、あちらもビックリしているだろう。

 巨杉の裏側に道だ。車道より安全だが、細い山道だ。暗いよ。遠くの家の明かりが頼りだ。だが、その道が突然無くなった。車道に出たいが3mほど下にあるようだ。

 

 とにかく前進。脇腹と足の太ももに何かが刺したようだ。痛いよ。毒虫か、でも休めない。明かりが見えて、あそこならバス停があるだろう。駆け足だ。バスは通過したか。

 

 これで一安心して、ゆうゆうと予約したホテルへ。だが予約されてませんよ。の一声。

2014/10/30



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