奥州街道Ⅱの旅

23:馬門宿・小湊宿


小湊宿・・青い森鉄道/小湊駅

     ひらない夏まつり(8月)

(昔話)・・津波にまつわる昔話



<藩境塚>


浅虫温泉駅〜野辺地駅・・馬門宿・・小湊駅〜


 青い森鉄道は浅虫温泉駅から野辺地駅までバスの半分の時間で森の中を疾走した。

野辺地駅には(日本最初の鉄道防雪林)と立て札があり、杉と唐松の巨木が鉄道を守っている。

 

 22日から始まる(のへじ祇園祭)を駅のポスターで知り、町中がお祭りムードに溢れているかなと思ったが、海に向かう道の両脇に提灯が飾られ、正面の八幡神社は準備の真っ最中だ。

 

 町の中心から街道は西に向かい奥州街道歩きで初めて海に出会えた。波静かな海があった。

海の囲まれた常夜灯公園に巨大な木造船が陸揚げ展示され、近くに常夜灯がある。

 北前船を復元した木造船で大きな帆柱と舵があり、実際に浮かんで各地へ航行したとか。

 

 海辺の街道は国道の歩道になり、藩境塚がある馬門御番所の古民家風のトイレを借用した。

そこは江戸時代に南部藩と津軽藩の境目で木の囲まれた小さな川が境界線らしい。

 川を覗くと背の高い草が茂り流れは蛇行して、砂利に覆われた川岸がないのが不思議だ。

 

 珍しく木柱道標が現れ国道から脇道に入ると数件の民家と畑だ。畑に鳥がクルクルと舞っている。

カラスよけのビニール鳥が釣竿に取り付けてあった。

 

 (狩場沢駅)の近くにレストランだ。バスで通過した時に見つけた場所だ。

満席状態だ。しばらく待つと注文を聞きに来て、料理もゆっくり出て来た。ホタテ料理が名物で「ホタテは場所により味が違い、陸奥と八戸、津軽の三種類があります。」との話だった。

 

 歩道があった国道は森に入ると草に覆われ、ついに消えた。上り坂のカーブが続く道になり、向かいから来る車が避けてくれるか、舗装された部分から草の中に片足を入れて避けるしかない。

 

 気が抜けない国道を2kmほど進んだところで右の路地に逃げ込んだ。海岸に出た。

ホタテ養殖の網が積まれていた。ホタテの貝殻の山がある。ホタテ漁の家は静まり返っている。

  お婆さんに聞くと「早朝の漁で今はみんな昼寝中ですよ。」

 

 ホタテの貝殻はマンホールに描かれていた。

ホタテはスペイン巡礼の証で、ザックにぶら下げたり、道しるべや旅籠の目印に使われているらしい。

 

 カモメが小さな突堤で風に向かって昼寝中だ。ソーっと近づいて脅かすと、「なぜ起こした。」と怒ったのかバッと飛び立ち上空を旋回して来た。怖いよ。

 

 青い森鉄道の高架橋を渡りかけた時にポツポツとそれはやって来た。

空を見上げても黒雲がない。通り雨かなと思った瞬間に猛烈な雨だ。ザックカバーの取付けに手間取り。その間傘をさせないでズブ濡れだ。

 

 叩きつける雨は道路で跳ね返り、ゴーと音を立てた雨は20分ほどで収まった。

バス停の小屋に到着する頃には小降りになった。体が冷えて来た。寒い。駅まで頑張ろう。

 

 駅近くにお寺があり、そばに500年を越す太いケヤキと道の中央に松の巨樹がそびえている。

小湊の名前から駅の近くに海があるかと思っていたが、町のはずれで坂を下った場所だった。

 駅からは昨日利用したバスで浅虫まで戻るが、制帽をかぶった運転手だった。

2019/8/22


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