奥州街道Ⅱの旅

17:福島宿


福岡宿・・・JR東北新幹線/二戸駅

      いわて銀河鉄道/二戸駅

      二戸まつり8月

      金玉まつり9月

金田市宿・・いわて銀河鉄道/金田一駅

(昔話)・・二戸の昔ばなし



<福岡宿・金田市宿>


二戸駅〜一戸駅・・浪打峠・・福岡宿・・金田市宿・・金田一温泉(泊)


 二戸の旅館は奥州街道に面して、金田市宿までの途中に位置しているし。そこまでは峠越えの道なので重たい荷物は預けることにした。

 

 再出発の一戸駅で忘れ物に気が付いた。4kmの峠道は森の中、クマちゃん出会えるかも。

山歩きで常に携帯した鈴がない。鈴なしでクマちゃんに遭遇したのは一度ある。だが取りに戻る時間はない。

いいか、大声で歌い続けるか、空き缶を拾ってカラカラと鳴らして歩こうか。

 

 金物屋があった。「鈴ありますか。」キョトンとして店主が現れて「どこかにあったよ。」と棚の下を探すと袋にいっぱい詰まった鈴が出てきた。「150円です。熊ね。居ないとも言えないよ。峠の登り口のパン工場付近に出たらしいよ。」あの沢山の鈴は何に使うのか疑問が残る。

 

 一戸駅から北に10分ほどきた。左側の二階建ての古い大きな建物は商家だったのだろう。

広い間口、二階の庇部分に土で固めたツバメの巣が並んでいる。60個以上はあるようだ。巣の住人は既に飛び立って姿はない。古い巣を再利用しないで代々作り続けたのか。

 

 4号線を越したあたりで街道は消えてしまい、高速道路で閉ざされてしまった。道路の壁脇の残されたわずかな畑に人がいた。お婆さんだ。道を尋ねると「トンネルを出て左に曲がると・・・」と幾度も同じセリフで丁寧に教えてくれた。

 

 パン工場の裏だ。(熊出没・注意)と大きな立て札が気になり鈴を着けたが鳴りが悪い。峠を越えるまでは鈴は手に持って鳴らし続けよう。

 

 高速道路を越える橋の先は上り坂の森が続いた。

ハルゼミ、ウグイスやピッピッピと鳥の声がしたが、いつの間にか鈴の音だけの世界に入った。

細かい砂利の轍の街道は北に向かってゆっくりと登り、標高300mの浪打峠に出た。

 

 峠は切通しになっていて、昔は海底だったところで貝類の化石が出る珍しい場所だ。

明治天皇と北白川宮の巨大な記念石碑とコンクリで固めた東屋がある。

 

 下りは舗装の道だ。日陰は滑りやすい苔が生えていた。ゆっくり下りは太ももを刺激しだした。

 

 二戸(福岡宿)の市街地になった。馬淵川に沿った街が続いた。

預けた重たい荷物を背負うと、背筋がビシッとなり歩き姿勢に戻れた。

 

 旧道を行くと住宅地の一角で古墳の発掘をしていた。

縄文時代の物だとかで、カマド跡などが出ている。調査が終わると重機で埋めてしまう話だ。

 

 大粒の雨が数滴落ちてきた。

黒雲の間から日が射している。見上げると青空だ。雨つぶはどこからか吹き飛ばされたか。傘を準備するほどではなかったが、数歩進むと雨つぶの連続攻撃に急変した。

傘では耐えきれない猛烈な雨になった。屋根付きのガレージに避難だ。

 

 道に水溜りも濡れた跡もない局地的な豪雨だった。

東の空にボーと小さな虹が出ている。

 

 派手な金田一温泉のゲートを潜り、田圃の一本道が続いた。小さな温泉旅館が点在していて、座敷わらしに遭うと幸運になれるとの伝説が息づく温泉だ。

 その一角、建て替え手間もなく、予約が殺到する緑風荘が今宵の宿になる。

槐(エンジュ)の間が座敷わらしの住処で隣部屋では出現の証かオーブの映像が流れている。

2019/6/25


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